療養泉とは

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療養泉

療養泉とは、温泉(水蒸気その他のガスを除く。)のうち、特に治療の目的に供しうるもので、表2の温度又は物質を有するものと定義されています。

環境省から出されている「鉱泉分析法指針」でこの療養泉が定義されています。

表2

1. 温度(源泉から採取されるときの温度) 摂氏25度以上
2. 物質(以下に掲げるもののうち、いずれか一つ)
物質名含有量(1kg中)
溶存物質(ガス性のものを除く。)総量1 000mg以上
遊離二酸化炭素(CO21 000mg以上
総鉄イオン(Fe2++Fe3+20mg以上
水素イオン(H+1mg以上
よう化物イオン(I10mg以上
総硫黄(S)〔HS+S2O32-+H2Sに対応するもの〕2mg以上
ラドン(Rn)30(百億分の1キュリー単位)=
111Bq以上(8.25マッヘ単位以上)

療養泉には泉質名がつき、「適応症」が認められます。

療養泉は下記の10種類に分類されます。

  1. 単純温泉
  2. 塩化物泉
  3. 炭酸水素温泉
  4. 硫酸塩泉
  5. 二酸化炭素泉
  6. 含鉄泉
  7. 酸性泉
  8. 含よう素泉
  9. 硫黄泉
  10. 放射能泉

療養泉の一般的適応症

療養泉の一般的適応症とは、泉質によらず、すべての療養泉に共通の効能です。

療養泉の一般的適応症

  • 筋肉又は関節の慢性的な痛み又はこわばり(関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、神経痛、五十肩、打撲、捻挫などの慢性期)
  • 運動麻痺における筋肉のこわばり
  • 冷え性
  • 末梢循環障害
  • 胃腸機能の低下(胃がもたれる、腸にガスがたまるなど)
  • 軽症高血圧
  • 耐糖能異常(糖尿病)
  • 軽い高コレステロール血症
  • 軽い喘息又は肺気腫
  • 痔の痛み
  • 自律神経不安定症
  • ストレスによる諸症状(睡眠障害、うつ状態など)
  • 病後回復期
  • 疲労回復
  • 健康増進

泉質別の温泉の特徴と適応症

単純温泉

基準

温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg未満で、湧出時の泉温が25℃以上のもの。
このうちpH8.5以上のものを「アルカリ性単純温泉」と呼びます。

特長

掘削技術の進化で人工的に掘られた温泉が多い今日、日本で最も多い温泉で、含有成分の量が他の泉質の定める一定値に達していない温泉の事をいいます。
温泉成分が入っていないわけではなく、基準値に達していないだけですのですので効果がないわけではありません。
一般的に泉質の基準となる成分が濃い程、刺激が強くなり、効能もあがる反面、体ににはやさしくありません。
場合によっては湯あたりなどをおこし、体調不良になる場合もあります。

それに比べ単純温泉は、これらの成分が薄いので、即効性は期待できませんが、体に優しいお湯ですので子供や高齢者などにもお奨めの万人にやさしい温泉です。

色:無色透明

適応症 浴用

  • 自律神経不安定症
  • 不眠症
  • うつ状態

塩化物泉

基準

温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのもの。

特長

皮膚の表面の角質を軟化させる作用があり、皮膚病や火傷、切り傷などによく、皮膚をなめらかにすることから「美肌の湯」と呼ばれます。

適応症 浴用

  • きりきず
  • 末梢循環障害
  • 冷え性
  • 皮膚乾燥症

適応症 飲用

  • 胃十二指腸潰瘍
  • 逆流性食道炎
  • 耐糖能異常(糖尿病)
  • 高尿酸血症(痛風)

炭酸水素塩泉

基準

温泉水1kg中の溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が炭酸水素イオンのもの。

特長

皮膚の表面の角質を軟化させる作用があり、皮膚病や火傷、切り傷などによく、皮膚をなめらかにすることから「美肌の湯」と呼ばれます。

適応症 浴用

  • きりきず
  • 末梢循環障害
  • 冷え性
  • 皮膚乾燥症

適応症 飲用

  • 胃十二指腸潰瘍
  • 逆流性食道炎
  • 耐糖能異常(糖尿病)
  • 高尿酸血症(痛風)

硫酸塩泉

基準

温泉水1kg中に溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上あり、陰イオンの主成分が硫酸イオンのもの。

特長

アルカリ金属・アルカリ土類金属の硫酸塩を主成分としているため硫酸塩泉となっています。

含有成分により、種類が分かれます。

マグネシウムー硫酸塩泉(正苦味泉:せいくみせん)
ナトリウムー硫酸塩泉(芒硝泉:ぼうしょうせん)
カルシウム-硫酸塩泉(石膏泉)
ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(含食塩-芒硝泉)
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(含食塩-石膏泉)
マグネシウム・ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉(含食塩-正苦味泉)

「傷の湯」「脳卒中の湯」などと呼ばれています。

適応症 浴用

  • きりきず
  • 末梢循環障害
  • 冷え性
  • うつ状態
  • 皮膚乾燥症

適応症 飲用

  • 胆道系機能障害
  • 高コレステロール血症
  • 便秘

二酸化炭素泉(炭酸泉)

基準

温泉水1kg中に遊雛炭酸(二酸化炭素)が1,000mg以上含まれているもの。

特長

二酸化炭素(炭酸ガス)を含む温泉で、入浴すると全身に炭酸の泡が付着して爽快感があるのが特徴です。
泉温が高いと炭酸ガスが気化し揮散するので、二酸化炭素泉は温度の低めの所が多いです。
炭酸ガスの二酸化炭素が皮膚から吸収されると、体は「二酸化炭素が増えたということは酸素が足りていない」と判断し、より酸素を体内に送り込もうとします。
そのため血流を良くするために毛細血管やを広げ細小動脈を拡張し、血液の循環をよくし血行を促進するとともに酸素や栄養素が体内を効率的に巡ることができるので、切り傷・やけど(火傷)といった外傷の回復を早める効果もあります。
心臓の拍動を増加させなくても血液の循環が良くなるため、必然的に血圧も下がります。
お湯が低温にもかかわらず、炭酸ガスの働きでしっかり血行を促進してくれるため、心臓へ負担をかけずにゆっくりつかれて血行改善の効果を得ることができることから「心臓の湯」と呼ばれ、高血圧に効果が期待できます。
飲用すると炭酸の爽やかな咽越しが楽しめます。
地中から自然と噴き出している天然炭酸泉は、日本では比較的少ない泉質です。
泡の湯とも呼ばれることがあります。

適応症 浴用

  • きりきず
  • 末梢循環障害
  • 冷え性
  • 自律神経不安定症

適応症 飲用

  • 胃腸機能低下

含鉄泉

基準

温泉水1kg中に総鉄イオン(鉄Ⅱまたは鉄Ⅲ)が20mg以上含まれているもの。

陰イオンによって炭酸水素塩型と硫酸塩型に分類されます。

特長

適応症 浴用

療養泉の一般的適応症

適応症 飲用

  • 鉄欠乏性貧血

酸性泉

基準

温泉水1kg中に水素イオンが 1mg以上含まれているもの。

特長

適応症 浴用

  • アトピー性皮膚炎
  • 尋常性乾癬
  • 耐糖能異常(糖尿病)
  • 表皮化膿症

含よう素泉

基準

特長

適応症 浴用

療養泉の一般的適応症

適応症 飲用

  • 高コレステロール血症

硫黄泉

基準

温泉水1kg中に総硫黄が2mg以上含まれているもの。

特長

適応症 浴用

  • アトピー性皮膚炎
  • 尋常性乾癬
  • 慢性湿疹
  • 表皮化膿症
  • 末梢循環障害

適応症 飲用

  • 耐糖能異常(糖尿病)
  • 高コレステロール血症

放射能泉

基準

温泉水1kg中にラドンが30×10-10キュリー以上(8.25マッへ単位以上)含まれているもの。

放射能は人体に悪影響を及ぼすと考えられがちですが、レントゲン等の放射線量よりずっと少ない量となっています。

ごく微量の放射能は、むしろ人体に良い影響を与えることが実証されています。

特長

適応症 浴用

  • 高尿酸血症(痛風)
  • 関節リウマチ
  • 強直性脊椎炎
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